請負業者賠償責任保険|比較検討・見直しのポイント

請負業者賠償責任保険の保険料水準について、保険会社による差異はそれほどありません。契約方式や補償内容の見直しで保険料は安くなる可能性があります。また、免責事項の多い商品であるため、特約による補償の充実も可能な保険です。
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1.はじめに

保険の見直しを行う場合、大別すると保険料負担の軽減補償内容の充実の2点に収斂されますが、保険の仕組み上、この2つは両立しない、相反するものです

補償を削減することは、保険料負担の軽減につながります。一方で補償を拡大・充実することは、保険料負担の増加につながります。自社のニーズにマッチするように見直しをオーダーしましょう。

請負業者賠償責任保険の比較、見直し

保険料の削減と補償の充実をどう両立し、バランスを取るかが重要

2.保険料負担の軽減

それではまず、保険料負担をどう減らしていくかという具体的な方法と、注意点についてみていきましょう。

2-1.免責金額の見直し

請負業者賠償責任保険は、身体賠償財物賠償それぞれについて支払限度額(保険金額)免責金額を設定します。

免責金額は、自己負担額とも呼ばれ、その名の通り、事故発生に伴う損害賠償について、被保険者が負担する金額です。この免責金額を大きくすることで保険料の割引を受けることができます

小損害については、被保険者の自己負担で賄う前提で、保険料負担とのバランスを検討しましょう。

2-2.担保範囲の縮小(不要な補償を削除する)

担保範囲を縮小することは、保険の補償機能を低下させることにほかなりませんので、保険料が安くなるのは当然です。

重要なことは、その事業者(被保険者)が請負う工事や作業の環境や条件を考慮した上で、事故が発生する可能性が極めて少ない事故形態について補償機能を削除することで、事業者の実情にあった契約とし、保険料負担を軽減する事です。

2-2-1.担保範囲縮小の例

①地下工事の伴う工事で、周辺の地価環境を十分調査した上で、地下埋設物不担保特約(水道管、ガス管、電線などの損壊に伴う賠償責任を補償しない)を付帯する。

②分離発注などの工事や隣接工区で被保険者以外の者が工事を行っている場合に、それらの者に与えた損害を補償対象外とする。(特定業者損害不担保

2-3.契約方式の見直し

他の賠償責任保険、例えば施設賠償責任保険、生産物賠償責任保険の契約がある場合、それらと1つの契約(1保険証券)とする、さらに共通保険金額とすることで保険料の割引をうけることができます。

あるいは、企業のあらゆる賠償リスクに対応する企業総合賠償保険に切り替えることで、すべて賠償責任保険トータルの保険料負担を軽減することも可能です。

2-4.損害率に応じた割引の導入

損害率に応じた割引の適用については見落としがちですのでぜひ押さえておきましょう。

2-4-1.損害率の考え方

保険会社は、契約者の支払った保険料と事故で支払った保険金の割合(保険金÷保険料×100、これを損害率と呼びます。)をデータ化しています。一般的に、損害率が0であれば、保険会社にとって優良顧客となり、80%を超えると「要注意顧客」となります

ただし、単年度ではなく、中長期で判断されるべきものであり、事故が発生し、その結果その1年間が100%を超えても、すぐに保険加入できなくなるわけではありません。最短で3年間、一般的には5年~7年の累計損害率は、保険会社、契約者(事業者)の両者に重要なデータとなります。

2-4-2.損害率による保険料の割引のメリットとデメリット

請負業者賠償責任保険の保険料が年間100万円以上で、過去5年間の損害率が、0%であれば、保険会社に割引を申し入れてみる価値はあります。30%未満までは、損害率は良好と言えます。保険会社によって、時には契約条件によって判断が異なる可能性ありますので、個別に相談、比較見積もりをとってみましょう。

ただし、損害率による割引を適用した場合に、その後事故が発生し保険金が支払われ、損害率が悪化すると、割引がなくなる、また損害率が100%を超えると、割増になる可能性もあります

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3.補償の充実

請負業者賠償責任保険には、多くの免責条項(保険金を支払わない場合)がありますが、工事についての請負契約の内容、工事現場の環境、使用する支給資材が高額であるなどの実情に合わせて、補償内容をグレードアップすることが可能です。

こまでの工事経験において保険金が支払われなかったケースなどを保険会社に相談して特約で補償できるか相談するとよいでしょう。

3-1.補償を充実させる特約の例

3-1-1.交差責任担保特約

請負業者賠償責任保険の被保険者相互間の事故に起因する賠償責任は、通常、免責に該当しますが、この交差責任担保特約の付帯により、その賠償責任を補償します。

なお、請負業者賠償責任保険の被保険者には、発注者を含めることも可能であり、その場合、この特約で対象となる被保険者は、発注者、元請業者、下請業者となり、複数の下請業者がある場合の下請業者間の事故の一部が補償されるようになります。

交差責任の被保険者と補償される事故の形態について、またその場合の保険金の支払い可否については、非常に難解になるため、加入前に保険会社に確認を取りましょう

3-1-2.作業対象物補償特約

作業対象物の損壊について、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。なお、作業の対象物であって、所有財物や受託財物は含まれません。

3-1-3.借用財物損壊補償特約(リースレンタル財物損壊補償特約)

被保険者が請負業者賠償責任保険を締結する業務の遂行のために、使用または管理するリース・レンタル財物の損壊によって、リース・レンタル財物について正当な権利を有する者に対して法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。

3-1-4.支給財物損壊補償特約

支給財物の損壊について、被保険者が支給財物について正当な権利を有する者に対して法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。

3-1-5.管理財物損壊補償特約

被保険者の管理下にある財物の損壊、紛失または盗難などによって被保険者が、その財物に対して正当な権利を有する者に対して、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金をお支払いします。

3-1-6.工事遅延損害補償

請負業者賠償責任保険で補償される事故が発生し、保険金が支払われる場合に、対象工事が履行期日の翌日から起算して6日以上遅延したことにより、被保険者が発注者に対して法律上の遅延損害賠償金を負担する事によって被る損害を補償します。

3-1-7.地盤崩壊危険補償特約

被保険者の行う地下工事、基礎工事または土地の掘削工事に伴う、土地の沈下・土砂崩れ、地下水の増減などに起因して、土地、土地の工作物など損壊したなどの損害が発生ししたことについて、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。

なお、保険会社によって、特約の名称、補償する内容に違いがありますので、実際の契約締結に際しては、個別に確認を行いましょう。

4.まとめ

請負業者賠償責任保険の比較検討、見直しのポイントは、保険料を安くしたい場合は、契約方式(他の賠償保険とのセット化)、免責金額の拡大、不要な補償の削除、損害率による割引の導入などがあります。

補償の充実のポイントは、補償の不足感を特約付帯により解決できないか、保険会社に相談しましょう。

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