請負業者賠償責任保険の被保険者の範囲の考え方と注意点

請負業者賠償責任保険の被保険者は各種業界の元請・下請の構図に対応したものとなっています。それが原因でやや難解な免責条項もありますが、それを特約で補償できるものもあります。仕組みを確認し、自社の実態にあわせましょう。
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1.はじめに

請負業者賠償責任保険の被保険者は、意外と複雑です。これは請負業務の遂行には元請下請などがあり、その構図に保険が対応していることによるものです。その一方で、作業現場にかかわる各種の保険の分野調整のために免責も複雑になっています。詳しくご説明します。

請負賠償責任保険の被保険者の範囲

被保険者の範囲は少し難しく、設定を誤らないよう注意が必要

2.被保険者の範囲

請負業者賠償責任保険の被保険者は、事業者本人(記名被保険者、法人・個人を問いません)と記名被保険者である事業者の業務に携わっている間の事業者の役員・使用人、事業者の下請負人、下請負人の役員・使用人です。

工事よっては、発注者が自ら設計・監督にかかわり、施工についても担うケース、いわゆる直営公示方式の場合、被保険者は、発注者を追加被保険者とし、その役員・使用人、元請とその役員・使用人、下請負人とその役員・使用人となります。追加被保険者を設定した場合は保険料が20%程度の割り増しとなります。

3.交差責任担保について

請負工事の事業場・工事現場における被保険者相互間の賠償事故(この賠償責任を保険業界で交差責任と定義しています。)例:下請業者が元請業者に与えた損害。またはその逆)については、労災総合保険建設工事保険で補償されるリスクが大半を占めるため、請負業者賠償責任保険では一部をのぞいて対象外としています。

また、工事発注者の賠償責任を補償するために、発注者を被保険者に含めた場合は、発注者と請負業者(元請・下請、ともに)の間の賠償事故も交差責任として、対象になりません。

これらの交差責任を補償するためには、交差責任を追加担保する特約を付帯する必要があります。

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4.請負業者について元請け・下請けそれぞれの立場から考える

上記のように1つの工事で、発注者、元請業者、下請業者Aが被保険者となる工事現場においいて被保険者相互間の事故を補償するニーズが出てくる場合があります。

この場合、元請業者が記名被保険者となる場合は、発注者を追加被保険者とします。下請業者が記名被保険者となる場合も、発注者を追加被保険者とします。

なお下請業者Aが記名被保険者となる場合は、元請業者は被保険者には入らないため、別の契約で記名被保険者となり、その契約で下請業者について「特定下請人不担保条項」を追加します。

これらの契約に交差責任担保特約を付帯することで、発注者、元請業者、下請業者、それぞれの相互間の事故を可能な限り保保することができます。ただし、この場合も免責はありますので、個別に保険会社に事前確認しましょう。特に下請業者は、自社の請負業者賠償責任保険については、元請業者と相談することが、トラブル防止、関係維持のためには望ましいと考えられます。

5.まとめ

請負業者賠償責任保険の被保険者は多くの人が含まれることとなり、その被保険者同士の事故が発生する可能性もあります。そうした事故で、どの保険(建設工事保険、請負業者賠償責任保険、労働災害総合保険など)の補償が機能するかを確認しておくことは重要です。

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