はじめに
PL保険は、PL法(製造物責任法)の賠償責任のほか、民法の不法行為責任、債務不履行責任もカバーしているため、建物の瑕疵に伴う事故で、建設業者の施工責任が問題となる場合に、役に立ちます。建設業におけるPL保険の必要性について、ご説明します。
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1.不動産である建物はPL法の対象とならないのか?
PL法は、製造物を「動産」と定義しており、不動産である建物は対象としていないと誤解する向きがありますが、それは間違いです。
建物は多くの資材、建材、部材、部品が施工技術で組み合わせられたもの。その資材、建材等はすべてPL法の製造物・動産に該当し、それぞれの製造業者は資材等を対象としてPL保険に加入することができます。
2.建設業界を取り巻くリスクとPL保険
建設業は、大きな資材を運び込み、巨大な機械を高度な技術で使用しながら、建物や工場、道路やダム、防波堤など様々な建造物の工事を請負、施工します。その現場は危険があふれており、万が一の事故に備えて様々な保険が手当されています。工事中の事故によって第三者が損害を被った場合、建設業者は賠償責任を負います。それは、工事業者向けの請負業者賠償責任保険で補償されます。請け負った工事が完了し、引き渡しが終わった後も、建造物の瑕疵・欠陥が原因となった事故が発生する可能性があり、その賠償責任を補償するのが、建設業者むけのPL保険です。建設工事中は、建設業関係者が現場にいる、あるいは現場を管理していますが、工事終了、引き渡し後は、工事関係者が現場を離れ、物件の管理を行わないため、施工ミスなどが原因となった事故が発生した場合、損害がより大きくなる場合もあり、建設業者がPL保険に加入することは非常に重要です。建物建築請負における瑕疵・欠陥に関する法律上の定めは民法の不法行為責任(709条)、債務不履行責任415条)
瑕疵担保責任(634条など)にありますが、PL保険はこのうち、不法行為責任と債務不履行責任の賠償責任を補償します。
(なお、上記1のとおり、PL法では、製造物を「動産」と定義していますが、PL保険は「製造物賠償責任保険」ではなく、「生産物賠償責任保険」と称し、保険の目的を動産に限らず仕事の結果も対象としています。)
3.まとめ
建設業におけるPL保険は、建設建築請負における欠陥・瑕疵に起因する賠償責任をするために重要で不可欠です。