PL保険(生産物賠償責任保険)が適用・補償の対象となる損害と免責となる事例

PL保険(生産物賠償責任保険)は、商品・製品、各種技術的なサービスなどを含めた生産物の瑕疵によって発生した損害について、PL法(製造物責任法)や民法に定められた賠償責任を補償します。ただし、数多く免責については誤解されやすい内容がありますので、要注意です。
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はじめに

PL保険は、法律上の賠償責任を補償するため、補償内容はどうしても法律用語が出てきます。その結果、保険商品のパンフレットもわかりにくい文章になっているケースがあります。さらに免責も誤解されやすい内容を含んでいるため注意が必要です。ポイントを押さえましょう。

なお、生産物賠償責任保険(PL保険)についての記事一覧は生産物賠償責任保険(PL保険)のすべてにまとめてあります。また、法人向けの損害保険全般について知りたい方は、法人向け損害保険のまとめに各商品ページへのリンクがまとめてありますのでぜひチェックしてみてください。

PL保険の免責事項

PL保険の免責事項には誤解されやすい部分が多くあるため注意が必要

1.PL保険の補償内容と事故例

PL保険で補償される損害は、被保険者が製造・販売した製品などの欠陥・瑕疵が原因で第三者の身体の障害または財物の損壊が発生した場合に、被保険者が法律上の賠償責任を負担する事によって被る損害を補償します。事例として2つご紹介します。

  • 事例1 弁当に入っていた貝に細菌が付着していたため、食中毒が発生した。この際の治療費や慰謝料
  • 事例2 調理中、突然にフランパンの柄が取れて、手に火傷を負った。さらにフライパンの落下により、床が損壊した。この際の床の修理費

上記のほか、仕事(作業)の結果(*)に起因する第三者の身体の障害または財物の損壊が発生した場合に、被保険者が法律上の賠償責任を負担する事によって被る損害を補償します。仕事の結果とは、各種工事の施工、清掃、機械等のメンテナンスなどの業務(作業)の遂行後の結果・状態を指します。

  • 事例3 内装業者の施工ミスにより、壁に取り付けた棚が落下し、ステレオにぶつかりステレオが損壊した。この際のステレオの修理費または再取得費用
  • 事例4 配電工事の欠陥により、漏電が発生し、家電製品が壊れた。

2.支払われる保険金の種類

次の費用が保険金として支払われます。

  1. 損害賠償金 損害賠償金を費目で例示すると身体賠償事故の場合は、治療費・医療費・慰謝料など、財物賠償事故の場合は、修理費または再調達費用(いずれも、損害があった財物の時価額を超えない範囲なります。
  2. 損害防止費用
  3. 緊急措置費用
  4. 権利保全行使費用
  5. 訴訟費用(訴訟となった場合)

3.PL保険で保険金が支払われない場合

PL保険は、法律上の賠償責任を補償しますが、法律上は賠償責任が発生するものの、保険では免責となる場合あり、注意が必要です。

 3-1.賠償責任保険全般で共通して免責となる事項

(損害保険全般においても免責となり、国内保険会社の損害保険による補償はできません。)

①保険契約者または被保険者の故意によって生じた損害賠償責任

②被保険者と第三者の間に損害賠償に関し特別の約定がある場合において、その約定によって加重された損害賠償責任

③被保険者が、所有、使用または管理する財物を、滅失、破損または汚損した場合において、その財物につき正当な権利を有する者に対して負担する損害賠償責任

④被保険者と生計を共にする同居の親族に対する損害賠償責任

⑤被保険者の使用人が、被保険者の業務に従事中に被った身体の障害に起因する損害賠償責任

⑥戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、その他これらに類似の事変、暴動または労働争議に起因する損害賠償責任

⑦地震、噴火、洪水、津波などの天災に起因する損害賠償責任

⑧排水、排気(煙、蒸気等を含みます。)または固体の排出で生じた損害賠償責任

⑨原子核反応または原子核の崩壊または汚染物質の排出などで生じた損害賠償責任

⑩石綿または石綿を含む製品の有害な特性に起因する損害賠償

4.生産物賠償責任保険で特有の免責

ひとまとめに言えば、生産物、製造物、作業目的物そのものの損害、または、それと類似する損害は免責です。

①生産物の欠陥に起因するその生産物の滅失、破損または汚損に対する損害

②仕事の欠陥に起因する仕事の目的物の滅失、破損または汚損に対する損害

③被保険者が故意または重大な過失により、法令に違反して製造、販売もしくは引渡した生産物または行った仕事の結果に起因する損害

④被保険者が仕事の行われた場所に放置または遺棄した機械、装置または資材に起因する損害

⑤保険期間開始前に既に発生していた事故と同一の原因により保険期間開始後に生じた事故に基づく損害

⑥事故が発生しまたは発生が予想される場合に、事故の拡大または同一原因による他の事故の発生を防止するために行った生産物または仕事の目的物の回収、廃棄、検査、修理、交換などの措置に要する費用、または、それらの措置に起因する損害

⑦生産物が部品、原材料、成分等として使用された財物(完成品)が、その生産物の瑕疵、欠陥、不具合により破損、滅失または汚損した損害。

(いわゆる不良完成品損害に関する免責でありますが、「不良完成品損害補償特約」をセットすることにより一部補償することが可能です。)

5.その他、PL保険で対象とならない損害

①生産物または仕事の結果が、所期の効能または性能を発揮しなかったことに起因する損害。

(PL保険は、対象とする製品(仕事の結果)の性能・効能を保証する保険ではありません。)

ただし、生産物または仕事の結果の機械的、電気的またはこれらに類似の物理的かつ偶然な事故の結果として効能または性能が発揮されなかったことに起因する損害は除きます。

②被保険者またはその使用人その他被保険者の業務の補助者が行う次のいずれかに該当する行為に起因する損害

ア.医療行為、美容整形、医学的堕胎、助産または採血。その他法令により、医師または歯科医師以外の個人が行うことを許されていない行為。

イ.はり、きゅう、あんま、マッサージ、指圧または柔道整復。法令により、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師または柔道整復師以外の個人が行うことが許されていない行為を含みます。

ウ.弁護士、公認会計士、税理士、建築士、司法書士、獣医師など専門資格を要する業務に起因する賠償責任

③.生産物が医薬品、農薬取扱法に定める農薬、食品衛生法に定める食品のいずれかに該当する場合は、その生産物が意図された効能または性能を発揮しなかったことに起因する賠償責任

6.まとめ

PL保険には、多くの免責事項がありますが、特に誤解が多いのは、PL事故が起きた場合のその製造物自体(請負業などの「仕事の結果」の場合は、仕事の対象物<例:建物など>)の損害は対象となりません。

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