PL保険(生産物賠償責任保険)とは|安心して事業を行うための保険

PL保険は事業の目的である商品の製造・販売や技術の提供結果(仕事の結果)に瑕疵や欠陥が生じ、賠償責任が発生した場合に備える保険です。製品やサービスの品質そのものを補償する意味で極めて重要な保険です。
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PL法は製造物についての賠償責任を定めており、主に製造業者を対象としています。これに対しPL保険は、広く事業者の「仕事の結果」についての賠償責任を補償しているため、対象とする業種は多岐にわたり、事業者にとって安心して事業活動を行うために必携の保険です。

PL保険のあらましを理解いただく前提で、その重要性を確認しましょう

PL保険の補償内容

被保険者が製造、販売または輸入した製品が原因で、消費者やユーザーなどの第三者がケガをしたり、または、第三者の財物に損害を与えた場合に、法律上の賠償責任を負うことによって支払うべき損害賠償金を補償します。

PL事故は事業活動に直接影響する。

事業展開にはさまざまリスクがあり、それぞれのリスクに対応した保険があります。

ある株式上場企業・食品メーカーX社を例に考えてみましょう。

  1. 従業員が社有車で死亡事故を起こした。
  2. 商品の倉庫が火事になった。
  3. 商品(食品)に異物が混入し、購入者が食後に体調を崩し、死亡した。

a、b、cの3つのニュースで、一番X社の株価の下落につながるのは、どれでしょうか。

いずれも不慮の偶発的で過失が原因の事故で、aは自動車保険、bは火災保険、cはPL保険で補償されます。cの商品(食品)に異物が混入した事故は、X社の商品の品質の優劣にかかわる問題であるからと考えられ、株価の下落=企業価値の低下に繋がりやすいと考えられます。PL保険の重要性は、事業者の「仕事ぶりに対する評価」を支える補償内容にあると言えます。

PL法(製造物責任法)の意義

PL法は「製造業者等は、製造物の欠陥により、他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」(同法3条の要約)として、欠陥製品に関する製造業者等の賠償責任を定めています。PL法は被害者救済の目的で制定され、製造業者等はや販売者は、製品の安全性について欠陥責任あるいは無過失責任(*)に近い重い責任を課していると解されます。対象となる製造物は多岐にわたりますが、同法では、製造物の定義を「製造または加工された動産」としています。例としてメーカーが製造した製品や部品、飲食店が提供する食べ物などが該当します。建物や建物に定着された、階段や壁面棚などは、動産でしょうか。いえ、建物は不動産ですね。しかしながら、建物は、数多くの資材、建材、部材の組み合わせ・集合体であり、それを建設業者が施工したものです。そ資材や建材はそれぞれのメーカーが製造したものであり、その資材、建材はPL法の製造物に該当します。*無過失責任(むかしつせきにん)とは、不法行為による損害が生じた場合、加害者がその行為について故意・過失が無くても、損害賠償の責任を負うということである。PL法は製造者等の無過失責任を定義していませんが、実際に製品に欠陥があった場合に、製造業者に過失がなかったことを証明することは不可能に近いため、無過失責任に近い責任を課していると考えられます。

PL法(製造物責任法)とPL保険(生産物賠償責任保険)のかかわり

PL保険は、PL法に定められた製造者等の賠償責任を補償する保険です。また、上記の建物の欠陥が原因で賠償事故が発生した場合は、資材・建材の欠陥、つまりメーカーの責任とは限られず、建設会社や内装工事業者の施工にミス(瑕疵・かし)が生じていた可能性もあります。PL保険はメーカーの賠償責任のほか、建設業者や内装工事業者の技術提供の結果(仕事の結果)についても対象としています。これは、民法上の不法行為責任と債務不履行責任に基づく賠償責任も補償するためです。これに関連して、PL法の正式名称は「製造物責任法」ですが、PL保険の正式名称は「生産物賠償責任保険」であり、PL保険の準拠する法律が製造物責任法だけではないからと考えられます。なおPLは英語のProduct Liabilityの略で、製造物責任は直訳です。

PL保険の重要性(まとめ)

事業者は製品・商品の性能や技術水準をいわば「売り物」にしているわけですが、その品質に起因する事故は、事業者の評価そのものに直結するもの。万が一の事故についての補償が行われない場合は、事業者の命取りになりかねません。賠償責任を負担しないこと、あるいは、負担できないこと、その行為そのものも法律違反となりますから、PL保険は自社の「売り物に生じる欠陥」を補償する保険であり、加入すること自体が、事業者のコンプライアンス行動と言えましょう。

PL保険の対象となる業種

製品・商品の欠陥は、製造業者だけの責任とは限りません。PL法に基づく賠償責任が問われる製品・商品の欠陥の原因は、大きく分けて3つに分けられます。欠陥の発生時点は製造段階に限らないことがわかります。

  • 設計上の欠陥
  • 製造上の欠陥
  • 表示や警告上の欠陥

例えば、家電製品の場合、設計と製造は正しく行われても、取扱説明書上の表記に誤りがあった結果、ユーザーが誤った使用方法をとってしまい、けががしたケースにおいては、表示・警告上の欠陥の責任は、製造業者ではなく、パッケージや取扱説明書の印刷業者のミスかもしれません。さらに、PL保険は、PL法のほか、民法上の不法行為責任と債務不履行責任に基づく賠償責任も補償しますので、対象となる業種は、いわゆる製造業者のみならず多くの業種が対象となります。

加入の対象となる業種・事業者

PL保険の対象となる業種は、完成品製造業者、部品・原材料製造業者、加工業者、販売業者、輸入業者、このほか、工事業者・メンテナンス業者などの請負業は「仕事・作業の結果」について保険加入することが出来ます。一方で、医師、弁護士、公認会計士、税理士、建築士、司法書士、獣医師など専門資格を要する業務は、対象となりません。(一部に専門職業別の賠償責任保険があるため)

補償の対象となる方

事業者(法人、個人)、事業者の役員および使用人、事業者の下請負人(その役員および使用人を含みます)

保険期間

1年(保険料算出について年間売上高を基礎としているため、原則1年となります。期間を短期に限定する場合、その期間の売上高を決定または見込む必要があります。)

保険の適用地域

日本国内(海外における賠償責任を補償するためには、海外PL保険に別途加入する必要があります。)

補償金額(支払限度額=保険金額、自己負担額)

補償金額は、身体賠償と財物賠償について、それぞれ支払限度額を設定し、保険金額とします。また、それぞれに1事故のあたりの自己負担額を設定します。

支払限度額の設定例

身体賠償、対物賠償の支払限度額すべて共通とすることも可能です。

保険料

PL保険の保険料は、事業者または個人が支払う他の損害保険と比較して、保険料の負担感が重いものではありません。事業運営上の必要経費の範囲で賄えます。

まとめ

PL保険は事業運営上、必須の保険です。この保険をなくして、万が一のPL事故の損害賠償請求に備えることは、事業者の負担が多大になり、事業活動を委縮させてしまうでしょう。

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