動産総合保険のあらまし|特徴と活用方法・注意点

動産総合保険は、一般的な認知度は低い商品ですが、企業の所有する商品・在庫品から設備・設備、さらに現金など、様々な動産について、その保管・使用状況、高額な物件の有無、運搬・移送の頻度などの事情に応じた設計が可能です。企業・事業者の実情に沿って、リスクヘッジを実現できる可能性のある保険商品です。
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動産総合保険は様々な動産を保険の対象とし、その保管・使用状況、高額な物件の有無や運送・移送の範囲や頻度などの実情によっては、有効なリスクヘッジを設計できる可能があります。その活用方法と注意点をわかりやすく解説します。

対象となる動産の種類と契約方式

動産総合保険の対象は、ほとんどすべての動産を対象としますので、対象とならないもの以外は対象となると考えてもいいでじょう。対象とならないものは、自動車・船舶・航空機と流通価値のない仕掛品や製造・加工中の動産です。代表的な契約方式を確認することで活用方法がイメージできるでしょう。

動産総合保険の対象となる動産は、自動車・船舶・航空機と流通価値のない仕掛品や製造・加工中の動産を除く、ほぼすべての動産です。活用方法は、対象物と契約方式を確認することでイメージがわくでしょう。特に法人・事業者における動産の使用状況、保管・運送・移送などを含めて一貫した補償を設計することに適しています。

対象となる動産

ほとんどの動産が保険の対象となります。下記の対象とならない動産以外は、保険の対象となります。

対象とならない動産

⓵自動車、船舶、航空機 それぞれ自動車保険、船舶保険、航空保険があるためです。

⓶加工中、製造中の動産 火災保険または物流総合保険があるためです。

*「半製品」は対象となり、「仕掛品」は対象となりません。半製品は、そのものだけでは完成商品ではないものの、単体で販売・流通価値があるもの、仕掛品も完成商品ではありませんが、単体では販売できず、流通価値がないものです。

なお、保険の対象となる動産であっても、保険会社の事情により引き受けが難しい動産が数多くあり、注意が必要です。リスク(損害が発生する可能性)が非常に高いもの、損害査定が困難なものが該当します。

  • 屋外に設置される物、建物内に保管されないもの(自然災害の被害にあうリスクが高いため)
  • 高額な美術品、骨董品(価値の算定が困難、市場流通価格の変動が大きいなどの理由)
  • スポーツ用品(通常使用で破損するリスクが高いため)

これらの動産については、補償内容を絞り込むなどの設計変更を行って引き受ける場合がある。

動産総合保険の契約方式

動産総合保険の代表的な契約事例を確認することで、この保険の活用方法が確認できます。契約方式は大きく分けて「あらかじめ取り決めた場所で保管され、使用している間に補償」(保管中のみの補償)と「事前に取り決めた場所で保管中、または使用中と、その場所以外に運び出された場合の両方を補償」(保管中と運送中の補償)2つに大別されます。

1保管中のみの補償

⓵個人特定動産

個人が所有している高価な家財・電化製品・美術品などを個別に契約する方式

⓶法人特定動産

会社や事業者が所有している営業用什器、備品、専用機器などを個別に契約する方式

2保管中と運送中の補償

あらかじめ保管場所の特定と運送、持ち出しされる範囲を指定します。

範囲の例①日本国内(海外は原則できません。)②保管場所から特定の場所の巡回・往復③保管場所をふくめた東京都内全域、など、範囲の広さにより保険料が異なります。

⓵商品・在庫品契約

法人の商品・在庫品などの保管中や運送中の事故を包括的に補償する契約方式

⓶展示品契約

展示出品物などの展示中や運送中の事故を包括的に補償する契約方式

⓷巡回販売契約

営業担当者が携行する商品などについて、巡回販売行程中の事故を包括的に補償する契約方式

⓸現金・小切手・手形・有価証券包括契約

売上代金・給与・賞与などの現金・小切手・手形または有価証券の保管中、運送中の事故を包括的に補償する契約方式。契約者(法人)の管理下から銀行や取引先など社外の管理下へ渡るまでの間の事故を包括的に補償します。

⓹リース・レンタル包括

リース会社が契約者となり、リース会社の顧客が使用中のリース物件の事故を包括的に補償します。(自動車、船舶等のリースは含まれません。)リース物件の所有者はリース会社ですが、顧客が使用中にリース物件に損害を被った場合、顧客はリース会社に原状復帰義務を負うため、リース料とともに保険料を負担することで、その義務を肩代わりする仕組みです。

リース業者およびそのユーザーには欠かせない保険です。

⓺商品付帯契約

小型精密機械の販売時に、購入者が任意に申し込む形式で、申し込んだユーザーを一括して契約する。補聴器や楽器、携帯端末などの高価で屋外へ持ち出す物にニースがあります。(ノート型パソコン・携帯電話等は普及に応じて、廉価化がすすみ動産総合保険に加入するユーザーは減少しました。)こうした契約は、個別契約では保険会社の採算が取れない傾向にありますが、メーカーや販売者がユーザーをまとめる事で採算性が向上するため、ユーザーも加入し易くなるメリットがあります。

対象となる事故

動産総合保険は火災保険よりも想定される事故の範囲が広いため、パンフレット等に「ほとんどすべての損害(オールリスク)を補償する」等の文言が記載されているケースがありますが、契約条件によって、その内容に大きな差異が出てきますので注意が必要です。

動産総合保険は、特定の保管場所以外における損害も補償することが可能であるため、想定される事故が幅広くなります。その結果、お客様のニーズと保険会社の事情に乖離が起きる可能性も高くなる傾向もあります。保険会社との事前打ち合わせ前に「どんな事故を優先して補償するか」を打ち合わせましょう。

対象となる事故例

火災、爆発・破裂、落雷、水漏れ、盗難、運送中の事故、破損、車の飛び込み、飛行機等の墜落、など。

*火災保険で対象としている自然災害(風災・水災)については、保険の目的・対象物によって対象とならない点は特に注意しましょう。(参照:4.保険金が支払われない損害)

支払われる保険金

動産の損害を補償する保険であり、当然にその損害をカバーする保険金を支払うほか、事故によって臨時にかかる費用や残存物の片づけ費用も支払います。ただし、契約上の自己負担金には注意しましょう。

動産に生じた損害をカバーするほか、事故によって臨時にかかる費用や残存物の片づけ費用も支払われます。一方で契約条件によって自己負担額は差し引かれるため、注意が必要です。

支払われる保険金の種類

⓵損害保険金

損害保険金=損害額 – 自己負担額(免責金額)

自己負担額は、契約時に取り決めた金額。自己負担額が高いほど保険料は安くなります。

なお、保険金額が事故のあった物件の時価額よりも低い場合は下記の計算式で保険金が縮小されます。

損害保険金=〔損害額 – 自己負担額(免責金額)〕×保険金額/物件の時価額

⓶臨時費用保険金

損害発生に伴う臨時にかかる費用の補償として、損害保険金の30%(1事故つき300万円限度)を定額で支払われます。

⓷残存物取り片づけ費用保険金

損害発生に伴う残存物の取り片づけの費用を損害保険金の10%を限度に実費で支払われます。

保険金が支払われない損害(免責)

動産総合保険で、保険金支払いの対象とならない損害(免責と言います。)については、一般的に損害保険で免責となる損害に加えて、保険の対象物(目的)によって、免責が追加になる事があります。加入時に注意深く確認しましょう。

大きく分けて損害保険全般で免責となるもの、動産総合保険特有の免責、保険の目的によって追加となる免責の2種類があります。

保険契約全般で免責事項

  • 保険契約者、被保険者の故意もしくは重大な過失または法令違反によって生じた損害
  • 戦争、外国の武力行使、テロ、革命、内乱、暴動などによる損害
  • 保険の対象物の性質もしくは欠陥またはその自然の消耗もしく劣化・さび・かび・変色などの損害
  • 官公庁による差し押さえ、没収などによる損害。ただし火災の延焼防止のために行われるものを除きます。
  • 地震または噴火またはこれらによる津波、火災による損害。
  • 核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染された物の放射能などによる損害。
  • 保険の対象物の置忘れ、紛失(置忘れ後の盗難を含む)
  • 詐欺または横領による損害

動産総合保険特有の免責、保険の対象物によって追加となる免責

  • 保険の対象物に対する修理・清掃・点検・検査・試験で作業上の過失や技術の拙劣により生じた損害
  • 万引による損害
  • 電気的・機械的事故
  • 管球類(真空管・ブラウン管・電球・LEDなど)に単独で生じた損害
  • 保険の対象物が屋外設備、屋外設置物(看板・アンテナ・太陽光発電機器など)の場合の風災(台風、暴風雨など)による損害
  • 保険の対象物が破損・「まがり」や「へこみ」が生じやすい動産の場合は、運送中に生じた破損・まがり・へこみ等の単独損害(*ただし、火災・爆発、運送用具の衝突、転覆などによる損害は、保険金支払い対象となります。)
  • 冷凍物・生鮮食品などを保険の対象とする場合は、冷蔵装置の不調・変調・破損により生じた温度変化による損害
  • 美術品・宝石・貴金属を保険の対象物とした場合の損傷に伴う価値の低下による損害、また営業時間外における金庫外保管中(金庫に入れてない間)に生じた損害
  • 通貨・有価証券などを保険の対象とした場合の勘定違いによる損害

5.まとめ

動産総合保険は、主に企業・事業者が所有する商品や設備から高価な機械・展示物、さらに現金・有価証券などを対象とし、その対象物が保管から運送などを含めて企業の管理下にある様々な状態で発生する損害を補償する便利な保険です。特に製造・保管・運送・販売のほとんどを自社で一手に管理しているような企業や、または多額の現金・有価証券を保管・運送する金融機関やレジャー産業には重宝される保険と言えます。一方で保険の対象物の性質に応じて免責(保険金を支払わない場合)が追加されるなどの点は注意が必要です。

保険会社・代理店の提案力の差が出やすい商品でもあるため、他の保険(火災保険や通知保険)の見直しの際に、検討の価値ある保険と言えます。

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