逓増定期保険の名義変更プランの仕組みとリスク

逓増定期保険には、法人の資産を個人の資産に移転する方法があります。これを逓増定期保険の名義変更ブランといいます。この名義変更プランを使えば、合法的に法人資産を個人資産に移すことが出来ます。この章では、逓増的保険の名義変更プランについて説明します。
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逓増定期保険には、法人の資産を個人の資産に移転する方法があります。これを逓増定期保険の名義変更ブランといいます。この名義変更プランを使えば、合法的に法人資産を個人資産に移すことが出来ます。この章では、逓増的保険の名義変更プランについて説明します。

逓増定期保険の名義変更プランの仕組み

逓増定期保険の名義変更プランで使う逓増定期保険は、低解約返戻型と呼ばれる商品です。低解約返戻型の特徴は、解約返戻率がピークになるまでの解約返戻率が極端に低いことです。この解約返戻率がピーク時まで低い特徴を利用します。

  • 保険料:毎年1,000万円
  • 解約返戻率のピーク:5年後100%
  • 低解約返戻期間:4年
  • ピーク前の解約返戻率: 20%

上記の条件の低解約返戻型の逓増定期保険で名義変更プランを実行するとします。

保険料を4回(4.000万円)払った後に、法人から個人へ名義変更した場合、評価額は解約返戻金になるので4, 000万円×20%の800万円になります。逓増定期保険を受け取った個人は、800万円を法人に支払えば良いことになります。その後、5年目の保険料1, 000万円を個人が支払い、解約返戻率が100%になった時に解約をすると、個人に5, 000万円の資金が入ることになります。

個人にかかる税金

この5,000万円にかかる税金ですが、必要経費は、法人に支払った800万円と1年分の保険料1,000万円になります。この場合の税金は、一時所得という税金になります。

一時所得の計算式は、(収入-経費-50万円) ÷2となります。今回のケースでは、

(5,000万円-1,800-50万円) ÷2=1, 575万円

になります。3,150万円の利益があるにも関わらず税金の対象になるのは、1,575万円になるのです。一時所得は、税金の中でもかなり優遇された税制になります。

少ない金額で大きな資産を個人に移すことが出来て、しかも税金まで優遇されるのが、逓増定期保険の名義変更のメリットになります。

逓増定期保険の名義変更プランのリスクについて

逓増定期保険の名義変更プランのリスクは、3つあります。会社に損害を与えることと、名義変更プランが否認される可能性があること、脱税まがいの行為になる可能性があることです。

会社に損害を与えること

先ほどのケースだと、企業は保険料を4年分、4,000万円払ったにもかかわらず、逓増定期保険を売却した個人からは800万円しか受け取れません。損金2分の1の商品だと、費用に2.000万円、資産に2.000万円という会計処理になります。資産2,000万円に対して800万円しか戻ってこないので1.200万円の損失が出ます。この1, 200万円の損失を税務署に問われた場合、理由を明確に答えることは難しいでしょう。

租税回避として今後は否認される可能性がある

1,800万円(逓増定期保険買い取り資金800万円+5年目の保険料1,000万円)で5, 000万円を手に入れることが出来るプランなので本来ならば名義変更の時に、実質の利益に対してきちんと課税すべきではないかとの見解が税理士、公認会計士、弁護士の間であります。今のところ否認されたケースはありませんが今後否認される可能性は十分あります。

脱税まがいの可能性がある

個人で税金を払うときに、本来は、逓増定期保険の買い取り資金と個人で収めた保険料のみを費用計上しないといけません。しかし、法人で支払った保険料まで費用計上するケースが相次いでいるのです。

先ほどのケースの場合本来は、(5. 000万円-800万円-1, 000万円-50万円) ÷2=1. 525万円に課税になります。しかし法人が支払った保険料を加えると

(5,000万円-800万円-5,000万円-50万円)÷2=-425万円になるので課税金額は0になるのです。

以前はこのようなで脱税行為が行われていましたが、2018年から明確に禁止になりました。この流れを考えると、租税回避の面でも課税が強化される可能性は十分にあります。逓増定期保険の名義変更プランは個人資産を作る上でメリットの大きい方法ですがよく考えて利用することが重要です。

保険会社によっては名義変更プランを積極的に勧めてくる

逓増定期保険の名義変更プランは正直グレーなところがあります。しかし保険会社によっては積極的に名義変更プランの提案をしてきます。また最近は銀行でも、逓増定期保険の取り扱いがあります。銀行でも、支店の方針によっては、名義変更プランを積極的に勧めてきます。逓増定期保険の名義変更プランは決して違法ではありませんが、しっかりと税理士などの専門家に相談する必要があります。保険会社や銀行の口車に乗らないように気を付けましょう。

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