1.はじめに
工事に関わる保険にはさまざまな種類がありますが、建設工事保険はその中の一商品で、建設工事の対象物の損害を補償する保険です。
ただでさえイメージしづらい建設工事保険ですが、その保険料の決まり方、保険料率の決め方についてはもっとイメージしづらいことと思います。
計算方法についてのトピックですので、カタい内容になってしまいますが建設工事保険への加入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
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2.建設工事保険の保険料率、計算方法
建設工事保険の保険料は、工事物件の構造と所在地、工事を請負う建設業者の経営事項審査評点、工事期間の4点で決定されます。
保険料を安くするためには、経営事項審査評点をアップすることです。
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2-1.保険料の計算式
建設工事保険の保険料の算出の計算式は以下の通りです。
保険料=請負金額×保険料率
また、
保険料率=基本料率(工事目的物(建物)の構造と所在地で定める料率:下表)×工事の期間係数×工事業者別の係数
となります。
基本料率(保険金額1,000円に対する保険料率) | ||||
---|---|---|---|---|
地域 | 構造級別 | |||
A | B | C | ||
1 | 東京、埼玉、神奈川、愛知、三重、岐阜、滋賀、京都、大阪、和歌山、兵庫、熊本の各都道府県 | 1.30 | 1.45 | 2.55 |
2 | 宮城、福島、栃木、群馬、山梨、長野、静岡、富山、石川、福井、香川、佐川の各県 | 1.30 | 1.55 | 2.70 |
3 | 北海道、青森、岩手、秋田、山形、茨城、千葉、新潟、鳥取、島根、奈良、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、長崎、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の各道県 | 1.35 | 1.60 | 2.80 |
基本料率は所在地(都道府県ごと)の構造級別3ランクの合計9つのマトリックスで決まります。
2-2.構造級別(A,B,C)
A級
主にコンクリート造り、すべて不燃材料で造られた建物。
建築基準法に定める準耐火建築物のうち、1時間以上の耐火性能を有する建物。
B級
A級に該当しないが、建築基準法に定める準耐火建築物のうち、45以上の耐火性能を有する建物。
C級
A級、B級に該当しない建物。
2-3.工事期間係数
1年を1として、期間によって係数が決まります。
例えば、3ヶ月なら0.45、6ヶ月なら、0.70、1年半なら1.50。
2-4.工事業者別の係数
経営事項審査の審査結果通知書の建築一式の総合評定値(P)により決定されます。
評点1,050以上なら0.7、945~1,049なら0.8、770~944なら0.9、769以下なら1.0。
評点が769以下と1,050以上の2つ事業者の間には、30%の保険料差が出てくる事になります。
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3.保険料の計算例
それでは保険料を具体的に計算してみましょう。
3-1.計算の根拠・条件
請負金額 | 1億円 |
---|---|
物件の所在地 | 東京都 |
物件の構造 | 建築基準法に定める準耐火建物で45分以上(1時間未満)の耐火性能あり。 |
工事期間 | 6ヵ月 |
建設工事業者の経営事項審査結果評点 | 940点 |
3-2.計算式
最終的に、保険料の計算式と保険料は下記の通りとなります。
1億円/1000×1.45×0.70×0.9=91,350円
4.まとめ
建設工事保険の保険料の計算方法について解説しました。細かい内容ではありますが、保険料が決まる仕組みが分かると、保険料を抑える、コスト削減する方法も見えてきます。
経営事項審査評点の仕組みもぜひ押さえて、有利な保険料で加入できるようにしましょう。
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